風刺画
この絵に出会ったのは何年ぶりでしょう と思ってしまうほど本当に久しぶりの絵でした 奴が銭を持って自慢げな姿ですが 力自慢の戦利品? 「銭差し」という言葉を覚えました そして「守銭奴・しゅせんど」という言葉に 「奴」 の文字が入っていることも気にな…
「福は外」の絵を見て 季節的にどうかなと一瞬思いましたが もう11月です 8日は立冬 『節分』を思い描ける時期に入っているのです 「福は内 鬼は外」の常識をひっくり返した大津絵師は流石です カテゴリーは当然 『鬼』ではなく『風刺画』に入れました 次…
珍しく鳥の絵を選びました どちらかといえば 梅の木が目立ちます 梅の木を描く時にスピードが必要だと思っています 少し薄墨すぎたかもしれませんが この時は迷いなく描けたようです 【道歌】鳴く声の 良きも悪しきも 二親の 教へにまかす 春の鶯
本来は三猿(さんざる)が伝承されていますが 大津絵師四代目高橋松山氏が二体加えた創作です 上段左は 聞かざる 右は 言わざる 中段は 見ざる 下段左は 考えざる 右は 思わざる 下段の二体が創作です この組み合わせが 伝承されている三猿の絵です 三猿と五猿…
この絵を見ると 何故か正月やお盆を連想してしまいます 奴の初夢でしょうか それとも奴の藪入りでしょうか いずれにしても 正月やお盆に行き着いてしまいます しかし 本来の奴は 武家の下僕であり厳しいお勤めの毎日 つらさを酒に求めたいと思うのも当然のこ…
今回も初見の絵です やっぱり楽しい時間を過ごせました 次に投稿した「天狗と象」が 見慣れた絵でしたが 今回の象に関しては実在の象に近しく描かれているとおもいます 18世紀にインドからの象と聞いていましたが 日本に象の初上陸は15世紀で現在のイン…
ちょうど一ヶ月 大津絵教室が無くて久しぶりの緊張感でした そして草体画 ! 習い始めを思い出します 松山家に代々伝わる『大津絵十種の草体画』 「藤娘」からはじめて「雷公」「矢の根」「鷹匠」「長頭翁」と教えていただきました 今思い返すと『草体画』は…
金時=坂田金時 金太郎は幼名です この絵の存在は知っていましたが クマを持ち上げる金太郎の絵の方を好んで描いていましたから 苦手といえば苦手です 上下の物体は苔むした岩を表しています 金時の力強さが届けられましたでしょうか 端午の節句の出番待ちで…
この時期になると 梅の香りとともに「梅に鶯」が登場します 何度描いてもその時の気持ちの違いが出ているようで 以前の絵と比べることが私にとって楽しみのひとつです 朱色のない絵も久しぶりです そして薄墨の大事さも充分わかりつつありました 【道歌】我…
奴(やっこ)を改めて検索してみました 最初に 下僕 しもべ とでてきました 次に 江戸時代の武家の中間(ちゅうげん) と続きます 奴とは 労働力なのです この絵のように酒にまみれて過ごしたいとの夢を見ているのでしょう ひたすら酒を飲み酔っている間は幸せな…
今日は節分 豆まきと恵方巻の日です 投稿の図は「福は外」です もちろん「鬼は外」もあります 敢えて「福は外」にしました 何故かって? それは【道歌】に頷いてしまうからです 【道歌】福は内と口では言えど心には 鬼をだかへてまめはやすなり 我といふ心の…
古来からある「桃鳩図」を参考に描いたと思われます 鳩に三枝の礼ありとは 鳩は親鳥より三本下の枝にとまるということ 鳥でさえ親に対する礼をわきまえているというたとえ 考えさせられます それ以上に 桃の木や花に興味を持ちました 梅や桜に対して世間は夢…
この絵は先代先生の創作画です 増賀は平安中期の天台宗の僧です 高い地位や名誉を捨て 仏教界を批判するようになったようです 身なりも奇怪で数多くの逸話を残しています この絵は教室で習っていませんが 先生の図録を参考に描きました 私は干魚(ひうお=干鮭…
いつものように二枚描きましたが どっちがいいとすぐに決められませんでした 微妙なのです いわゆる一長一短そのものなのです それでも描いている途中にいい感じと思えた一枚を投稿しました 丸に大の字の紋が何を表しているのか 遅まきながら調べたいと思い…
何度も出てくる画題ですが その時の体調や気持ち次第で 絵の雰囲気が変わるように思えます 猿知恵の愚かさを表しているのです 大津絵によく出てくる猿ですが 猿=人間でしょうか しみじみと考えさせられるのです この絵のサルは特におじいさんの顔らしく描い…
瓢箪から駒が出る を略して 瓢箪から駒 としばしば用いられる 瓢箪のような大きさから 駒(馬)のように大きなものが出る ありえないことのたとえ 冗談で言ったことが実現してしまうこと 驚きの状態です [道歌] 打ちあけて みれば大きな駒が出た 後は軽うて も…
禅僧一休と遊女地獄太夫が歌を詠み交わした時の様子です お互いの着物を交換して ほろ酔い気分の場面です
[道歌] 三味ひいて酒をすすめて気をうばい 人をえり食ふ鬼のおふさよ 化かされぬ時にはあちの尾がみゆる 化かされりゃまたこちの尾がみゆる 着物の裾からチラッと見えた尾っぽ 完全に化けきれなかったようです それにしても 狐女がいて狐男はいないのでしょ…
大黒様の登場で仏画かと思いましたが やはり風刺画でしょう 常識をひっくり返して『鬼は外』から『福は外』になっています 昔の大津絵師のアイデアはたいしたものです 思わずクスッと笑えます 昔から伝わっている大津絵は 裃(かみしも)を着た鬼と大黒様が離…
[道歌] 世渡りは 狂言綺語(きご)とおなじこと うへうへも役 したしたも役 [道歌] ふる人も ふらせる人も 人は人 心とり毛の すえでわかるる 槍持ち奴の絵にも複数ありますが 私はこの奴がお気に入りです なぜか ゆる~い感じで気持ちが楽になります 大津絵十…
[道歌] 負けることをば きらやるけなが 何故に欲にはよふ勝たん 江戸前期 異装をして徒党を組み 無頼の生活を送った「町奴」 威勢よく見えるように 肩で風を切って歩く姿を想像しました この絵の「町奴」に怖さは感じられません 「町奴」の本質も 案外ひょう…
矢橋(やばせ) と言う聞きなれた地名を見ると ホッとします 矢橋から 琵琶湖 そして滋賀と連想しました やはり滋賀は琵琶湖なのですね 大切にしたい湖です 時には荒々しい湖面をみせますが 琵琶湖の全てが美しい……… [道歌] 船と水 仲良くてこそ 世は渡れ 心の…
美人画かもしれませんが 風刺画にしました [道歌]の題に「煙草によする無常」と書かれてあり 何故か生活感が感じられる絵なのです このカルタに関して今回気になったことは むらさき という言葉です 調べてみて「紫煙(しえん)」という言葉が 煙草の煙をさす…
今年は「寅年」でもあって 大津絵に関しては出番の多い絵でした 勿論 私も年賀状に使いました 正直描くたびに 虎が猫風になってしまいます 可愛いのは悪くはありませんがやはり虎には精悍さを求めてしまいます この絵の気遣い所は 竹即ち笹の描き方だと思い…
釣鐘弁慶とも言われそうですが 確かに「ひゑい山」即ち「比叡山」の上にいます 三井寺から奪った釣鐘を今まさに放り投げようとしています 釣鐘が「帰りたい」と言うのに腹を立てての行動だそうです 何故奪ったのでしょう ただ単に力自慢を見せつける為だけの…
大津絵十種にも入っている絵です 正直言って風刺画としての「座頭」は あまり好きではありません 以前聞いた解釈が からかいを感じさせるものでした いろんな解釈があると思いますが [道歌]を読んでいただいてご理解ください [道歌]犬などになぶらるるも何故…
この絵のお気に入りは 雄鶏の尾です 尾を描く時は少し緊張してしまいます 鶏と太鼓 どちらも時を告げることで共通しています 面白い取り合わせです [道歌] 朝おきをすればいつでも心よし おきねばわるい病とぞなる
またもや猿が登場しました 瓢箪で鯰を押さえようとしています 方法が間違っていますよね それでも押し通してしまう姿が猿知恵と言われてしまうのです この絵も数種類ありますが 私のお気に入りの猿です [道歌] 瓢箪に似たる思案の猿知恵で いつ本心の鯰押さ…
猿知恵とは何か 利口のようで間の抜けている考え・たくらみ 浅はかな知恵 やはり猿の姿は人間そのものなのです 江戸の心学者が大津絵を用い 人々に道徳を問うていたと思われます それが [道歌] として残り 今に伝わっています [道歌] 身をおもふ思いはおもく…
この絵は風刺画としてよく理解していただけると思われますが 如何でしょうか 酒を飲む猫の絵もありますが どちらにしても同じ様な教えを示しています [道歌] 聖人の教えを聞かず 終(つい)に身を ほろぼす人のしわざなりけり [道歌] だまされてまたその上に精…